秋の声



ヒグラシの合唱を聴きながら秋の始まりを感じる過ごし易い夕べです。夏の終わりのこのひと時、宮崎駿崖の上のポニョを数日前に見たせいか、福田総理の政権放棄のニュースが流れる中で、何故か今日は青の世界に入りたくなりました。


そこで1枚の写真から、ニースにあるMarc Chagallの国立聖書美術館のコンサート・ホールでの経験を思い出しました。ホールのステンド・グラスの青と椅子の青が映し出す空間は悪意と興奮が遠くに押しやられ静穏さを生み出します。このステンド・グラスの3面の窓は創世紀の1章の天地創造のみことばからシャガールが聞いた自然の響きの表現です。Ⅰ窓が創造の4日間で一番大きく、2窓目は2日間の表現で窓の大きさも1窓目の半分で動物や人間の創造を表します。最後が楽園の安息のⅠ日の表現です。このホールのステンドグラスの青は永遠の夜の青です。


このホールのステージにクラヴサンがあり、この楽器の伝統に従って、蓋にフランドル風の油彩画井戸のそばのイサクとリベカが描かれ、深い井戸からこんこんと湧き出る泉(愛)のモチーフが
あります。




シャガールは語っています。「愛の中に、人生の社会的論理、あらゆる宗教の本質があります。わたしにとって芸術や人生における完成は、聖書的源泉に由来するものです」と。


青の世界は、一日に体験したいろいろな側面を愛しむ余裕をわたしにもたらします。わたしの漕ぎだす方向を吟味する時間を
準備するものです。


Taeko H