ともし火


1月から2月へ。

私にとってその移り変りはたびたび、たやすくなかった。

雪の降る1月下旬、膝を捻って、半月板損傷をしたことがあった。

膝に血が溜まり、階段を昇り降りすることも、湯船に入ることもできないまま2月を迎えたのを思い出す。

ベッドに足を投げ出しては、ひねもす過ごしていると、
姉妹の1人が、庭にあったのと言って、1本水仙を持って来てくれたっけ。

その庭に今年も、水仙が咲いている。
よく見ると、白いろうそくに、火が灯っているようだ。
それが、見守るように身をかがめている。
茎と葉は、さながら緑色のキャンドル・ホルダー。


あれから大分経つ。何度かぶり返しはしたものの、膝は今すっかり健在そのもの。 感謝としか、言いようがない!


誰かが、そっと、火の灯ったろうそくを置いてくれる。
たった1本、本当に小さな光なのに、とっても暖かい。

消えない火。あたため続けるともし火。
誰かが、そっと、ともしてくれた。


ありがとうございます。

Kaoru-S